第10話

大学時代の私は、余り目立たない地味な女だった。


一度も染めたことのない肩下の長さの黒髪に、

ほとんど化粧もしない冴えない顔。


ずっと女子校だったから、というのは言い訳だけど、それまで彼もいたことがなかった。



本当はもう少しオシャレをしたかったけど、いきなり『大学デビュー』するのも恥ずかしくてその機会をすっかり逃してしまったのだ。



デビューするなら、大学の入学式だったと後悔し、社会人になってからは入社式前に思い切ってイメチェンした。


今は地毛にも見える程度の栗色のストレートのロングヘアに、会社用にだから薄めではあるけれど、大学のときに比べればきちんとメイクもしている。

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