第19話
夜は眠れなくて、そのまま夜が明けた…
ピンポーン
チャイムが鳴る
出る気力なんかなくて、ベットに張り付く。
ピンポーン
「…」
ピピピピピンポーン!
「しつこいな…」
渋々ベットから起き上がり、玄関のドアを開けると、広子おばあちゃんが慌ただしく入ってきた。
「紗奈、今すぐその情けない姿をやめて、スーツに着替えなさい」
扇子で紗奈を指差す。
「スーツって!?いきなりどうしたの??」
「この屋敷を借りたいとの申し出が合ったの。
その方との交渉があるから、貴方も出なさい」
「ええー!無理だよ!」
「大家兼管理人でしょう!
これから、貴方が何事も交渉していくのですから、慣れなさい!」
「えええ!?」
広子おばあちゃんの言われるままにスーツに着替える。
そして、御茶と茶菓子を用意する。
広子おばあちゃんを見ると、分厚い書類に目を通して、何やら確認していた。
ピンポーンとチャイムの音がする。
「さあ、紗奈、お迎えに上がりなさい」
「はい」
ドアまで行き、ドアを開けると、化粧の濃ゆそうなグラサンをした美魔女が立っていた。
「こんにちわ」
艶のある声で言われ、思わずたじろぐ。
「こんにちわ…」
変なお辞儀をしてしまった。
「あーらー!翠蓮社長!
この度はお忙しい中ご足労いただいてありがとうございます。
さあさあ、お上がりになって?」
たじろいでいたら、広子おばあちゃんが私を押しやって全面に出てきた。
そして、社長と呼ばれた人をリビングへと案内する。
「あなた達も入ってきなさい」
後ろを振り返って、翠蓮社長は言う。
「「「「「「はい」」」」」」
男たちの声が外からした。
「……?」
グラサン集団がズカズカと入ってきた。
紗奈はその迫力に圧倒されて、口をポカーンと開ける。
先頭にいた男は紗奈の顔を見るなり、グラサンをずらす。
「あれ!?
君って確か、【Rush】のリキトさんと焼肉屋に居た」
「あ!!ア…アヤトさん…!!?」
「へー、覚えてくれてたんだ?」
「え…ええ、まあ…」
「あー、リキトさんとコソコソと会ってた女じゃん!」
レンノスケはからかうようにわざとらしく声を荒げた。
「コソコソ…はまあ、してましてけど…、怪しい関係ではないです!」
「またまた~!
リキトさんの何番目の彼女なんだよ?」
「違います!」
「おい!」
言い争いをしていると、冷淡な声が響く。
皆ビクッと体が震えた。
「早く中に入れ」
一番うしろに居た人物が声を発すると、ピリッとして、皆の表情が強張った。
「…………。」
紗奈はこの声に聞き覚えがあった。
(まさか…)
声を発っした男はグラサンをずらすと、紗奈をじっと見つめた。
「ㇲ…ヵ…」
声が震える。
うまく声が出せない。
5年ぶりに見るその姿は変わっていて…
「はじめまして。
日菜乃紗奈さん」
「え…」
はじめまして…?
なんで…?
私達、付き合っていたのになんではじめまして?
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