Vol.3/探索行(4)

 瞬間、記憶の底で蠢いた。


 面識はないはずなのに……どこかで会ったことがある……そんな気がし始めていた。


 気づくと、オレも美少女を見つめていた。


 違う。


 その《瞳》に、視線を引きよせられていた。


 強い磁力に引きよせられているようで、引きよせられたならば最後、今度は逸らすことができなくなってしまっていた。


 《瞳》の輝きが、別の世界へといざなってっているようだった。


 と、記憶の地層深くに埋もれていた、《あるもの》が身動きした。


 そしてむくりと、起きだした。


     ※


 我に返ると、木崎は消えていた。


 記憶に蘇った《あるもの》――今まで埋もれていた《記憶》に気をとられている間に、これ幸いにと逃げたのだろう。


 大きな瞳の、あの美少女もいなくなっていた。


 しかし、思いだした。


 何故、蘇ったかを。


 蘇った《目的》も。


 美少女の正体も思いだしていた。


 ポケットに手をつっこみ、携帯を取りだした。


 手がかりは、さっきの木崎の言葉でつかんでいた。


 するとまた、《警報》が鳴った。


 あのキナ臭い幻臭が鼻をついたのだ。


 振りかえると、あいつがいた。


 すんなりとは、行かせてくれなさそうだった。






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