Vol.3/探索行(3)

 思ったとおりだ。内面的に弱いから、揺らせば勝手にこぼれだす。


「彩菜がどうしたって?」


「えっ、いや……」


「いいから、いえよ!」


 無理にいわせようと、迫る。


「――?」


 ふと、誰かに見られている気がした。


 視線を感じた先を見やると――ジャングルジムの前に、ひとがひとり立っていた。


 奇妙だった。


 さっきまで、そこには誰もいなかったからだ。


 17、8歳ぐらいの、セーラー服を着た、長い黒髪の少女だった。美少女といってもいいだろう。


 バンドの追っかけの子かと思ったが、違った。ファンは大切にする主義なので、熱心な子は覚えるようにしているのだが、初めて見る顔だった。


 黒眼がちの大きな瞳が印象的だった。


 黒曜石のような瞳で、濁りのない、なめらかな黒い光をたたえていた。


 と、突如それが、異様な輝きを見せはじめた!?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る