Vol.3/探索行(2)

 木崎の仕事は、秋葉原の某家電量販店の販売員だった。


 ゆっくり話せそうな、近くの小公園へ移動した。


 今日も木崎はオレのことを、ような眼でうかがっていた。


「何、怯えてんだよ?」


 オレの問いに、木崎は反駁した。


「べ、別に怯えてなんかねーよ」


「そうか? 幽霊でも見たみたいな顔してるじゃないかよ」


「!?」


 幽霊、という語に、木崎は著しく反応した。


「木崎……昨日は大変だったよ。いろいろあって」


「い……いろいろ?」


「そう、いろいろ」


 わざと含んだいいかたに、木崎は明らかに動揺していた。しきりに瞬きを繰り返し、落ちつきがなくなっていた。せっかくの美形が台無しだった。


「オ、オレは反対したんだ! でも、彩菜が!」

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