Vol.1/心臓にナイフ(3)

 抵抗しようにも多勢に無勢、羽交い締めにされると、ヤツらのうちのひとりが心臓めがけてナイフを刺したのだ。柄を握っていたのは、おそらくは自殺に見せかけるための偽装工作なのだろう。


 そして、この河川敷に投げ捨てられたというわけだ。


 でも何故、オレを殺したのか?


 ヤツらと面識はなかったし、恨みを買ういわれもないはずだった。


 では単なる、行きずりの犯行か?


 それも腑に落ちない気がした。


 胸のナイフは刺さったままだった。ひとに見られたら、何かと面倒だ。


 一気に引き抜く。


 痛みはなかった。


 血も、刺された時に流れて今は乾いてTシャツにこびりついているもの以外は、新たに流れることもなかった。


 死んでいるのだから、当然だった。


 が、オレは生きていた。


 これはいったい……どういうことなのか!?

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