Vol.1/心臓にナイフ(2)
なかった。
とりあえず、心臓は止まっているようなので安心した。
いや、安心するのもヘンか。
立ちあがると、そこは――河川敷だった。
子供の背丈ほどあるススキのむこうには大きな川が流れ、陸側にはゆるやかな斜面の堤防が見えた。場所に覚えがあったし、近くに『荒川』と書かれた看板もあったことから、自宅からそう遠くない場所なのだとわかった。
しかし何故、こんな所にいるのだろう。
記憶が混乱していた。
確か……バンドの練習のため、ストラトの入ったギターケースを肩に、池袋の貸しスタジオに行こうとしていたのではなかったか。
そうだ。
JRに乗ろうと駅へ向かう途中、ひとけのない路地裏で、チンピラ風の男ら五人に襲われたのだった。
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