第71話

沙希は掃除中に窓から転落するって書いてあったのに、教室にはいなかった。



私は沙希がこの教室を掃除している最中に、窓から落ちるのかと思っていた。



だけど、どこから落ちるかまでは書いていない。



みんなが掃除をしている時間に、沙希はどこかの窓から転落するという意味だったのだろう。



どこから転落したのかは、警察が調べてくれる。




ノートに書いてある出来事は、終わった。



そのうち明日の日記も書かれるだろう。




「……河北さんと私だけだよね?ヨイシの呪いって何のことか知らないのは」




私のつぶやきに、河北さんは首をかしげた。




「先生なら何か知ってるかな……?」



「無駄だよ。ヨイシのことを知ろうとしたって」




私たちのいる場所から、声のしたほうは見えなかった。



窓側の前のほうから聞こえてきた男の声。

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