第68話

その言葉に、みんなはガタガタと机を元の位置に戻し始める。



どうして急に……?



私はその光景が不思議でならず、滝沢君の肩をたたいた。




「ねえ、ヨイシの呪いって……」



「村上さん。先生が来る前に片付けないと」




途中で私の言葉をさえぎり、滝沢君は忙しそうに机を運ぶ。



彼の様子で、『ヨイシの呪い』というワードはこのクラスではNGなのだとわかった。



だけど、それは一体どういう意味なの……?




隣にいた河北さんのほうを見ると、彼女は窓の外を見つめている。




遠くから聞こえてきたパトカーのサイレン。



慌ただしく動く先生たちの姿。



変わり果てた沙希。





彼女はただ、冷たい表情のままジッとそれを見つめていた。

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