第61話

いきなりどうしたんだろう?



不思議そうに首をかしげていると、河北さんは周りに聞こえないように小さな声で言った。




「……もしかして、ノートそっちに行った?」



「……っ」




今まですっかり忘れていた。



私は小さくうなずく。




「机の上に置いておいたのに、朝になったら消えてたから……」



「……信じたくないけど、やっぱりこれって怪奇現象とかいうヤツなのかな?」




そうじゃなきゃ、ノートが瞬間移動するはずがない。



それだけじゃない。




「河北さん。ノート、燃えないの……」



「……え?」




今朝、庭で火をつけて燃やそうとしたことを告げた私。



だけど、赤い炎につつまれただけで、ノートは燃えるどころか、こげてさえいなかった。

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