第60話

「滝沢君もありがとう……」



「いや、ごめん。もっと早く助けられたらよかったんだけど」




申し訳なさそうに謝る滝沢君。



そんなことない。



クラスメイトの前でかばってくれたことが本当に嬉しいから。




「とにかくさ、誰かを疑うとかやめないか?今、警察が捜査してくれてるんだし、この話はもう終わりにしようぜ」




滝沢君はクラスメイトを見回しながら、大きな声でそう言った。



その言葉で、ホッとしたような空気につつまれる。



夕夏のグループも顔を見合わせると、黙って自分たちの席へと戻っていく。




それが合図になったかのように、ほかの子も自分たちの席へと戻った。




「村上さん。ちょっといい?」



「え?」




コソッと河北さんが私の耳元でささやき、腕を引っ張ってろうかへ出た。

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