第59話

「夕夏がそんなことするわけないじゃないっ!」



「あなたが村上さんを犯人だという可能性を主張するから、私だって夕夏が犯人である可能性を主張しているだけよ」



「だけど……っ!」




沙希はまだ押し通そうとしてる。



夕夏がため息をついた。




「沙希、それくらいにすれば?」



「……っ!」




そう制したのは、クラス委員の滝沢君だった。



言われて、沙希はうつむく。




「杏奈は犯人じゃないよ。俺も昨日、図書室にいたけど、悲鳴が聞こえるまで図書室から出てないし」




決定的だった。



沙希はこの状況が気まずくなったのか、教室を飛び出していく。




「河北さん、ありがとう……」



「……別にいいのよ。本当のことを言っただけだし。推理小説の読みすぎかしらね?」




そう言うと彼女はクスッと笑った。

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