第53話

こんなの嘘だっ!



きっと、どこか引っかけたに違いない。



私は首をおさえながら部屋に戻った。




「……っ」




心臓が止まってしまうかと思った。



河北さんに渡したはずの、黒いノートが私の机の上にあったからだ。




このノートからは逃れられない。



私はノートをつかむと、下へおりて、庭へ出た。



ノートを放り出した後、一度リビングへと入る。




お父さんが煙草を吸うのに使っているライターを、テーブルから取り、裸足のまま再び庭へ出た。



そして、私はノートにライターで火をつけた。



ノートに火がつき、燃え上がる。





最初からこうすればよかったんだ……。

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