第42話

そんなことを考えているうちに、予想していた通り、次々と利用者が増える。



お弁当を食べ終えた私は、急いでカウンターへと戻った。



すでに、河北さんはアンケートの集計を始めている。




「あっれー?どこ行っちゃったかと思ったら、河北さんと仲良くお仕事ですかー?」




ドンッとカウンターに図鑑が置かれたかと思ったら、夕夏の声がした。



顔を上げると、意地悪そうな笑みを浮かべた夕夏がそこにいる。



私は教室でのことを思い出してドキッとした。




「これ、返却ねー」



「……」




返却作業をやろうとしたけれど、河北さんが黙って図鑑を手にした。



図書カードを確認して、ハンコを押す。




「よかったね、仲のいい友達ができて」




フフンと笑って夕夏は図書室を出ていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る