第35話

信じてくれたのかはわからないけれど、河北さんが笑みを浮かべることはなかった。



バカにされてもいないようだ。



河北さんはノートを手にして、中を開いた。



目で1ページ目の文を読む彼女。




「……本当に、中身が書かれてる。あなたの字じゃないわよね?」



「本当に違うよっ!私はこんな事、書かないよ!」



「わかってる。念のため聞いただけよ」





淡々として言ったって、冗談に聞こえないよ!



心の中でツッコミを入れて、私は化学の教科書とノートを取り出した。





「村上さんの話を聞いて、小説が書かれているのかと思ったけど、これは日記みたいね」



「……日記?」




宿題を始めていた私は、河北さんの言葉に反応して聞き返す。

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