第33話

きっと見間違いだよ……。



そう、自分に言い聞かせながら、私はカバンを開けた。




だけど、その祈りは届かなかった。



カバンの中央に、存在を主張するかのように入っている真っ黒なノート。




「ウソ……でしょ……?」




私の声は声になっていなかった。



こんな事が起きていいものなのだろうか。



処分したはずのノートが、どうして私のカバンの中に入っているの……?



一体、どうなってるのよ……?







「村上さん?」




河北さんに声をかけられるまで、自分がカバンを見つめたまま立ち尽くしていたことに気が付かなかった。

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