第32話

今から教室行く気にはならないし、行くあてもない。



私はカウンターに腰をおろす。




「あー……。宿題終わってなかったんだっけ……」




思い出したようにつぶやく。



あの黒いノートに書き込まれていたことについて、怖くなって宿題どころではなくなっちゃったんだ。



放課後までに終わらせて、提出しに行けばいっか。



とりあえず、少しやってみよう。




「……?!」




ジーッとチャックを開けた時、ほんの少しの隙間から、黒いものが見えた気がして、私はバッとカバンを閉じた。





……あるわけがない。



だって、あれは私が丸めて、ゴミ箱に放り込んだのだから。



しかも、学校へ行く途中でゴミ捨て場にゴミ袋を出したのだから!

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