第30話

じゃあ、やっぱり、私が捨てたノートが勝手に……?



そんな、まさか。




「……村上さん。今朝は姿が見えなかったみたいだけど?」



「あ、うん。私、今来たところで……」




表情も変えずに聞いてきた河北さん。



答えると、さっきまでの出来事が頭の中でよみがえる。




上靴がゴミ箱に捨てられていたこと。



机に無数の落書きをされていたこと。




その内容が、昨日ここで見つけた時には何も書かれていなかったノートに書かれていたこと。



ここにしまったはずのノートが、なぜか私のカバンの中に入っていたこと……。




「村上さん?どうかした?」




黙り込んだまま、立ち尽くす私に、河北さんが問いかけてくる。

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