第29話
「……何してるの?」
「ひいっ!」
引出しの中を見つめていたら、突然声がして、私は驚いて飛びのいてしまった。
顔を上げると、そこにはいるはずのない河北さんの姿がある。
「え、ど、どうして?!今、授業中なのに……」
「あなたこそ。何で?」
びっくりして心臓がバクバクしてる。
私の質問には答えず、河北さんは逆に聞き返してきた。
もしかして、図書室のカギを開けたのは河北さん?
「あ、私は……」
「……ノートならないわよ」
開けっぱなしの引出しを指さして、河北さんは淡々と言った。
そう。
ノートは引出しから消えていたのだ。
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