第11話

河北さんは、さっきと同じ場所で推理小説を読んでいた。



私が戻っても顔も上げない。



かなり深いところまで本の世界に入り込んでいるのだろう。



私はノートをカウンターの上に置くと、さっきまで座っていた場所に座った。





「……どうかした?顔が真っ青」




本を閉じて顔を上げた河北さんが私に問いかけてきた。



顔が真っ青?



そう言われ、さっき見た女子生徒のことを思い出す。




「あ、あの……。私が向こう行っている時に、誰か入ってきた?」




無駄だと思いながらも、私は河北さんに尋ねた。



さっきの女子生徒が私が気づかないうちに、図書室に来たのかもしれない……!




だけど、私の祈りもむなしく、河北さんは首を横に振った。





じゃあ、さっきの女子生徒は一体何……?!

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