第71話
「私たちはね、仲間って存在が大きいのよ」
「仲間―――ですか?」
「うん、例えばね、恋人とか結婚とか?出来たりしたら幸せだし、そっちを優先しちゃうぐらいはまっちゃうこともあるだろうけどさ、終わりがくるかもしれないでしょ?別れたり、喧嘩してもう顔も見たくないとかさ。だから、気の合う仲間や友達っていうのは、一生大事にしないといけないんだよ?恋人は一瞬、友達は永遠だから」
中学校時代
少しの誤解があっていじめの対象になってしまった私は、その時から友達がいなくなった。
離れていった友達の誤解を解くこともしなかった私。
人間っていうのはこんなに簡単に切れるんだって、その絆の薄さに幻滅した。
高校はわざと遠いところにして、一からやり直そうと思ったけど、最初だけで。
そのうち、どこから仕入れたのか噂が再発して、また孤独になってしまった。
そのころ、同じ風に孤立した冴島。
わたしたちの関係はそこから始まった。
こいつがそばで笑ってくれてたらいいと思っていたのに、それだけじゃ物足りなくなってしまった。
本当は居ないかもと思ってた彼女の存在が明らかになってからは特に、気持ちが不安定になりがちだ。
結局わたしは、演技でも冴島のことを友達って割り切れるほど、大人じゃなかった。
上手に隠せた分だけ、後の反動が酷くなってくる。
いま、あいつと離れないと、無限のループにはまって抜け出せないんじゃないだろか?
そんな不安が過る。
「寒くないかい?」
「———ううん、大丈夫です」
「少し寝ようか?疲れた顔してる」
「はい―――朝から色んなことがあったので、疲れました」
「そっか。…あ、朝日一緒にみない?とっても綺麗なのよ?」
「はい―――じゃあ、見たいです」
「じゃあ、後で起こすね」
「はい、よろしくお願いします」
酔っぱらっていた冴島は大丈夫なのかな?
朝日をあいつと見たかったけど、多分無理だろうな…。
そんなことを思いながら、冷たい冷気を顔に受けながら眠りについた。
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