第61話

「すっげー綺麗だったな」


「うん、割とね」


「———なんだよ、テンション低いな」



だってほとんどあんたの背中しか見てないもん


――――とは言えない。



「———寒いんだよ」


「じゃあ、酒呑もうぜ、身体温まるって」


「え、ちょ、いいってば」


「遠慮すんなって」


「遠慮なんかしてないってば!ちょっと!?」




いいって言ってるのに、近くの店から缶を二つ買ってきた冴島。


一つはビールで、もう一つはピーチ柄の酎ハイだった。



「どっちがいい?」


「———どっちもヤダ」


「こっち、ジュースみたいだから大丈夫だって」


「ええ?でもお酒でしょ?」


「2%しか入ってないって、ほとんどジュースだから。———あ、どうせだから夕方のところ行って呑まない?」



「なんでわざわざあんな暗いところに行くのよ」


「今日、満月なんだってよ」


「————出てないじゃん」


「そのうち出るかもしんないじゃん。出たら暗いところの方が綺麗に見えるだろ?」


「でも、暗くて視界悪いし」


「————あー………、あれ使おう!うちわもらったじゃん、光るやつ」

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