第58話

「好きならいいじゃん。聞いてあげなよ話くらい」


「そう思って聞いてたけど、終わりがねぇっていうか、内容も頭悪すぎるっていうか・・・。結局モヤモヤだけ残るんだよね」


頭悪いって


わたしだったら4つも年下の男にそんなこと思われたくないな。


「それ込みで好きなんでしょ?だったら私に愚痴らないでよ。彼女の悪口を友達に言うとか最悪だよ」


「いいじゃん別に・・・。ここは離れてるし、本人に知られる訳じゃないんだし」


「———私が言いふらして彼女の耳に入ったらどうすんの?」


「———ハハッ、そんなこと果歩がする訳ね―じゃん」



やけに自信満々だね。


まあ、言いふらす友達もいないからその通りだけどさ。



それに、どうせ私はこいつの中で”王様の耳は~~・・・ってやつだ。



「なんかさ、こうやって果歩に話すと心がリセットするって言うか・・・うまく言えないけど安らぐんだよね」


嬉しい言葉だけど、それはセラピー的なものだよね。


こいつの中で決して私に対する恋愛感情の類じゃない






「一時間1000円ですから」


「ハっ、金とんのかよ」


「あたりまえ」


「じゃあ身体で払う」


「————は?」


「キスとかでどう?」


「————どうって」


「—————ノリが悪いな、ここ笑ったりツッコんだりするとこだから」


「———あ――、そうだね、ごめん」


「ったく。あ、もう始まりそうじゃない?行くぞ!」


「————うん…」



一瞬


おふざけでいいからキスして欲しいって思ってしまった。

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