第57話

冴島?


知ってる?


わたしね、あんたの事好きなんだよ?




だからさ、そんなにはっきり言われると、少しきついな。


普段わたしに見せる姿は、それと程遠いよ。


コタツみかんしたり、鍋の牡蠣を全部食べないでって子供みたいなこと言ったりさ。


ヘラヘラしてたり、おバカな発言してる顔しか思いつかない。


でも、それってさ、わたしの前だけは自然体でいてくれてるんだって嬉しかったのに…


そうじゃないんだね。


わたしの前ではカッコつけてくれない。


つまり、それは—―――


わたしの前ではそんなことをする必要が無いってことだ。



「相手にとって俺はガキなんだろうなって思う時ある。———ペット的な?」



わたしの心はまた落ち込んでくるけど、こいつの相談は終わらない。


「ペットは言い過ぎでしょ?」


「————いや、似たようなもんだよ・・・。俺の中身なんて見てくれないんだ」




普段人のことをお花畑とかいうくせに、自分だって夢見がちじゃないか。


なんか沸々と怒りが込み上げてきた。



いやぁ、それにしてもお酒の力ってって凄い。


普段なら遠回し過ぎて何言ってるかわかんないけど、これなら私でも分かるよ。



そんなさ、高校生との恋に本気になる訳ないじゃん。


ましてや、その年で”相思相愛”なんて理想もってるメンヘラ男なんて――――って思う私は間違ってる?


でもさ、四つ上の21才なんだよね?


わたしがもし、中一の彼氏がいたとしてさ・・・。


なんか想像もしたくないくらい離れてるよ?


中一の頃なんてどんなんだったか思い出せないのに、きっと会話の焦点も合わなそう。



でも、『高2と中一』と『21才大学生と高2』を比べてる時点で私が間違ってるかも。

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