06.暗闇でも見える心

第54話

「ってかさ、行き当たりばったりすぎない?あの人たちが居なかったら夕食にもありつけなかったよ?」


「———どうにかなるんだって世の中は。なきゃないで違う方法を考えればいいことだし」


「そうだけどさぁ―――」



その通り過ぎて返す言葉がみつからなかった。


完璧を求めたって人生上手く動くことなんてきっとない。



事前に考えたってきっとその時にならないとどう転ぶなんて分かりっこないんだ。



こいつの何に魅かれたかって言われると、周りの女の子と変わらず”ルックス、声、雰囲気”な私だったけど



ここ最近はこの人の見えなかった部分が見えてくる。



「ごめんね」


「————なに謝ってんの?」


「・・・いやー、なんかさ?本当は彼女とこうゆう風に過ごしたかったんじゃないかなって・・・・。だけど、たまたまママに頼まれてキャンセルの予定が私と行く羽目になったんでしょ?だから悪いなーって思ってさ」


「——————べつに、そんなんじゃないよ」


「そう?———彼女ってさ、アウトドア好きなの?」


「—————え?」


「だって、彼女と行くはずだったでしょ?予定が合わなくて私になっちゃったけど。だから、彼女、こうゆうの好きな人なのかなー?って思ったの」


「—————わかんね」


「・・・わかんないの?彼女なのに?」


「うん、全然わかんね。———あの人が考えること、俺全然分かんなくて」


「———————なんかよくわかんないけどさ、よっぽどのお祭り好きとか、珍しいもの好きとか?—――キャンプとかアウトドアが好きじゃなきゃこれはキツイと思うよ?」



「彼女と行くはずだったのはここじゃないし」


「あ、え?そうなの?」


「うん、ちゃんとホテル取ってたし、氷瀑まつりってとこで、ここより造形物がいっぱいあってイルミネーションが綺麗でロマンチックなところ」



何―――だよ


ここよりってさ


ここだって十分綺麗じゃない。



――――なんか、感傷的に浸ってたのに、その差はなんなのさ



わざわざ口に出さなくてもいいじゃんって思ったけど。



そうだった、私は止まり木だったんだ。


それを思い出した私はがっくりくるけど、止まり木はいつものようにこいつの話を聞くことに集中することにした。

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