第55話

プロマッピングの演出があるらしい会場まで、ゆっくりと歩く私たち。


途中の雪像を眺めながら、自分の心情を語るようにぽつりぽつりと話しだす冴島は多分酔ってる。


けど、そんな彼が紡ぐ言葉に相槌をうってた。




「なんかさぁー、俺はあの人にとって何者なんだろうって思う時があって」


「うん」


「なんか――、俺の話聞いてくれないの」


「うん」女子かよ


「会話にならないって言うか、一方的に聞いて聞いてって感じで」


「うん」


——何となくそんな雰囲気は見えたよね、本屋で見かけた時に


「んで俺も負けじと自分の話しようとするじゃん?そうしたらさ、途中で割って入ってきて相手の話にすり替わってるんだよね」


「うん」そこ張り合うなって


「なんかそこで、”聞いてくれねーんだ”ってなってさ」


「うん」


やっぱ女子だな。

それにしてもこいつが聞き役ってウケるんですけど


「そんなのが半年間つみ重なって、今って感じ」


「ふーん、、、。そっか」


そんな状態でも半年続くんだ。


―――ああ


続くよね


・・・やることはやってるんだろうし。


そんなことを考えるのは失礼だけど、全く関係ないわけじゃないよね?

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