第53話

「バイバ~イ頑張ってねお兄ちゃんたち」


「うん、嘉人くんも気をつけて帰ってね、———本当にお世話になりました」


「うん、頑張ってね~。今度その気があったらでいいからさ、連絡頂戴ね」


「あい!無事に帰れたらぁ、連絡しま~す」


「あらあら、いい男が台無しだね。もっとしゃっきりしないと果歩ちゃんに捨てられるよ?」


「えへへへ・・・」



なんだその照れ笑いは。


―――可愛いから許すけど・・・。



「荷物積んだよ~。あ、ここに泊まるんならさ、これ置いてくよ」



パパさんが持ってきてくれたのは、キャンプ道具に使ってる遮熱シートや毛布なんかの暖がとれるもの。


ある程度はレンタルできるけど、基本的なものしかないし、それじゃとても無理があるって教えてもらった。



「ありがとうございます、本当に何からなにまで」


「いーのいーの、使い終わったらここのスタッフに”利川”ってやつがいるからそいつに渡すように言ってくれる?」


「はい!利川さんですね!了解しました!」


”バイバーイ!”



遠くから手を振る一家に私たちは頭を下げ続けた。




とても仲良くなったけど、12歳未満は親が同伴でも参加できないみたいで、はじめからしばれ焼きの後に帰る予定だったらしい。



「・・・・・・・」



なんだか寂しくなった私たち。



「散歩―――するかぁ」


「————うん」



その寂しさを紛らわす為に歩き出した。

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