第52話

「ええ!?果歩ちゃんお酒呑んだことないの?!」


「???————はい、ありません」


「うっそーぉ、すっごい真面目だねぇ」



ママさんは私にびっくりしてる。


え?ちょっと?———なに?



わたしは間違ってないよね?


飲酒も喫煙も二十歳からのはずだ。


なのに、私の方が間違ってるみたいな騒がれ方。



「いやーそうなんだぁ。私の年代だったら珍しいけどさぁ、今の子は真面目なんだねぇ」


「いや、うちの果歩ちゃんが例外なだけですよ」


「ああ、やっぱり!?夏休みとか誰かの家に集まったら絶対誰か買ってくるよね?」


「そうっすよね」



こいつ、いまどさくさに紛れて”うちの果歩ちゃん”って言ったな。



―――否定するのもったいないからこのまま合わせるけどさ・・・



それってどうなのさ


冗談なの?それとも酔った勢いでも、ほんのちょっとだけでも気持ちあるの?



「ほんとねーまっじめなんだぁ、この果歩ちゃんは~」



ねえ、本当にあんたズルい人だよね。


そんなに幸せそうに私のことを話さないでよ。


―――また、泣けてきちゃうじゃん。

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