第51話

見ず知らずの人に優しくしてもらえると、心細かった心に温かいものが流れ込んでいくように安心する。



冴島と一緒とはいえ知らない土地だし、少しだけ怖いなーって思ってたから。



すっかりと夜の景色に変わってしまったから特にね。



でも、本当にいい一家に恵まれた。


お話しながら、コンロに身を寄せて身体を温める。



「はい、熱いうどんも出来たよ~」


「うわー!ママさん!ありがとうございます!!」


「あったけー!」


「あっはは、大げさだから」


小6の息子君も会話に参加して、楽しい時間が続く。



お互いの出身地で盛り上がったり会話が弾むころ、なんだか冴島の様子がおかしくて、もっている缶を確認したら酎ハイを飲んでいやがった。



「あ・・んたっっ!ちょ、なに飲んでるの!」


「ん~~~?だってぇー、パパさんが飲めってぇいうからさぁ」


「だからって、高校生じゃん」


「いいじゃん、おれ初めてじゃないよ?」


「だからってこんな人目がつくところで堂々と・・・」


「大丈夫大丈夫、俺ら大学生って事になってるから」



今日一番の衝撃。


ここに来るまでも色々とびっくりしたことはあったけどさ。


年齢を偽って参加してるって知らなかった。



ってかさ、私が小声で話しても、こいつが普通に話してたら意味ないじゃん。



案の定、”パパさん”は驚いた顔をしていた。




「え――!!高校生だったの?あらら、遠いところからご苦労さん」


いやいや、パパ様?


問題はそこじゃないですよ?


「はぁい、ここまで長かったっすー」



ってお前も、何普通に返事してるのさ!


ニコニコ返事をしているこいつは、少し酔ってるみたいだった。

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