第48話

綺麗な景色を見上げて仰向けになったままの私たち。


こんな大きな空を見上げていると、心寂しくなって誰かと手を繋ぎたくなる。


相手が誰でもきっと同じことを思うだろう。


ママでも冴島でも友達とかでも、人の体温を確かめたくなる瞬間でもあるのに



”おれ、彼女いるし”



すぐそばに居るこいつは、触れることが許されない存在で



それがより一層寂しさを情緒させる。



「・・・なんで泣いてんの?」


「泣いてないよ」


「・・・ふーん」



フードを深くかぶってたのにバレちゃった。


いつまでも手を放さないから不審に思ってこちらを向いたんだろうけどね。


赤くなったり、涙が出てきたり、私の顔面は忙しい。



「でも、なんか分かる」


「何が?」


「こんな綺麗なところにポツンといるとさ、なんか良くわかんないけど、こみ上げてくるよな」


「うん―――そうかもね」



会場から少しだけ離れただけなのに、この世から遮断されたように孤独を感じる



綺麗な夕焼けのもと、隣には想いを伝えることが出来ない好きな人。



単純な私の頭は、そう考えただけでも涙が出てきてしまった。

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