第40話

車窓から見える景色はビルや高層マンションが立ち並ぶ町中から住宅街を抜け、やがて間隔が広い戸建てばかりが目立つ景色に変わった。


南千歳までそんな景色が続いて、追分おいわけ町に向かう時には何もない景色になった。



「何もないね…。凄い」


「うん、凄いな。たぶん畑があるんだろうけど、木しかないな」




雪に覆われた果てしなく続く大地。


こんなに障害物なく見渡せたのは、本当に久々だった。



「冴島は北海道きたことあるの?」


「ううん、ない」


「ないの?ありそうだけど」


「俺の家族、そんなにフレンドリーじゃねーから家族で旅行も行ったことない」


「・・・・そうなんだ」



以外。


勝手にお金持ちだと思ってたから、海外旅行とかに小さな頃から行ってそうなイメージだった。



「今さらだけどさ、どこに行くの?」


「とりあえず帯広で降りて、そっから北に向かってくの」


「なんていうところ?」


「ん?日本で一、二を争うくらい寒いところ」


「—————そこでなにすんの?」


「———秘密」



ヒミツばっかだな



「そもそもさ、彼女と行くんじゃなかったの?」


「断られたって言ったじゃん」


「あ、そうだっけ?」


「————すぐ忘れる」


「悪かったね」

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