第39話

濃厚で味が濃いめな味噌ラーメンは、寒かったり、おセンチになった心だったり、ほっこりと嬉しく思ってた心にガツンときた。



「美味しい!なんで?寒いから?」


「わっかんねーけど、旨いことは確かだな」


「だね」



この会話、なんかいいな。


気を使わなくてもいいし、気が楽だ。



そこにほんのちょっとだけ好きだよって気持ちを隠しつつも、嬉しくて顔が綻ぶ。



こいつと居るだけで作られる空気感は、やっぱ好きだ。




こんな時間が永遠と続けばいいのにな。


そうしたら、最高の友達としてずっと一緒に居られるのに…。




「ええ?!ちょっと?お金払うよ」


「いいって、ぜーんぶママから貰った”旅費”に含まれてるからさ」



今日は一日そんな感じだ。


ジュース一本も実費で払えないほど厳重に私のお財布はロックされている。




荷物を取ったり、防寒着を何点か買ったり。


発車の時間に合わせるまで忙しく駆けずり回る私たち。



今度は東の方に進むらしい”JR青空号”に乗り込み、二人並んで座る。



「電池もったいないから、まだ封印な」



そう言ってもらったおもちゃのうちわは、スイッチを押すとボタン電池で光るらしい。


どうやら、行き先は暗いところみたいだ。

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