第37話
札幌駅に着いたのはお昼前で、とりあえずロッカーに荷物を預けて身軽になった私たちは、予定通り腹ごしらえをすることになった。
「すっごい広いね。迷いそう」
「ああ、だな。同じような景色の地下街に繋がってるし、思ってたよりでけぇわ」
ブラブラとして入るのは、北海道ならでは!らしいラーメンチェーン店。
「わたし味噌ラーメン」
「じゃあ俺豚丼」
「———は?味噌ラーメン食べる話どこ行った?」
「半分こしよう?」
「———なっ!」
なんだよ、そのカップルみたいなシェアの仕方。
思わず声が出ちゃったよ。
「———やだよ」
ウブなんだよ!間接なんちゃらとか恥ずかしすぎて無理だから!
……あんたはなんとも思ってないだろうけど!!
「えーケチぃ。ちょっとぐらいもダメ?」
「だめです」
〖一口〗も〖半分〗も変わらないの!
わたしが拒否してるのは量の問題じゃなくて、その行為そのものなんだよ!
って、思うだけで口にも態度にも出さない私は役者になれると思う。
こいつの前だけしかできないけど…。
結局お子様味噌とハーフ豚丼を頼んでいる冴島。
「おもちゃつきますので、一つお選びくださーい」
「・・・・はーい・・・」
「・・・・選ぶの?」
「うん、だって貰えるんでしょ?」
「だけどさぁ、小さい子用のおもちゃしかないよ?」
「小さい子とか誰が決めるの?対象年齢5才以上とか書いてるけど、○○以下とは書いてないよ」
こんなところで理屈っぽくなんないでよ。
”べつにいらないけど、しょうがない”感だすな。
結局小さな豚丼と味噌ラーメンで、2個もらえるらしいおもちゃ。
「きーめた、お揃いでこれにします」
「———はいw、かしこまりました」
わざわざお揃いとかいうな!
不意打ちすぎて顔が赤くなるわっ!!
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