第35話

千歳空港から手配していたらしいバスに乗り込むべく、一歩外に出た私たち。


けどその途端、自動ドアが開くや否や、寒すぎて叫び声が出た。



「いやぁ!さっぶーい!!」


「ちょーww なんだこれぇ!」



空気が冷たすぎて肺が痛い。


特に注視していなかった事態が起きた。


ダメだ、寒すぎだ。


普段着てるジャケットじゃお話にならない。


手袋もスース―するんですけど!


なにがどうなってるの?


周りの人達みたいにモフモフの上着をゲットしないと!



「とりあえず!札幌駅で作戦会議だな」


「さ、賛成!!」



ブルブルしながらバスの順番待ちをして、乗り込んだ。



バスの中は暖房が効いてて温かい。



「ちょ、見て果歩。窓が凍ってる」


「わっホントだ!氷ついてザラザラしてんじゃん」


「外との気温差が凄いんだな」


「————マイナス11°だって」


「げ!昼間で?すっげーな!」



きゃあきゃあ騒ぐ私たちに、地元の人達なのかクスクスと笑いが起きていた。


声が大きかったな。



――――――ん?


あれ、いまさ、冴島こいつわたしの事——”果歩”って名前呼びしなかった?


幻聴?

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