第31話
「阿部さーん、放課後ヒマ?予定なかったらカラオケ行かない?」
「あ、うん。行きたい――――です」
「アハハ!敬語いらないし!おもしろすぎ!阿部ちゃん!」
友達っていうか、河内谷くんの幼馴染のグループに入れてもらえるようになったわたし。
放課後は他校生交じりのテンション高い男女に囲まれることが多くなってきた。
とくに同じ学校の沙耶って子が良く私を誘ってくれるけど、正直ノリについていけなくて疲れることもある。
迷惑かけたくないし、私のせいで楽しい雰囲気を壊すのも気がひけるし…。
「果歩ちゃーん、歌ってないよ~?」
「あ、はい」
苦手だけど入れなきゃね・・・。
わちゃわちゃした学校生活を送りたいって思ってたけど———
なんか理想と違うな・・・。
頑張ってはしゃぐも、きっと顔が引きつってると思う。
「どうした?疲れたか?」
「ううん、大丈夫だよ」
そんな少しの変化にも反応してくれる河内谷君は優しい。
いつも私のことを心配してくれる。
けどさ、だから余計に気を使って元気なふりをしちゃうんだ。
気が抜けないって言うか、空気のようにそーっとしておいて欲しいって思うことがあるけど。
せっかく気遣ってくれているのに、そんなこと思ったら失礼だよねって自己嫌悪に陥る・・・。
あ――あァ・・・・・
少し前まで冴島と勉強したり、ゲームしたり、コタツみかんしてまったりしてたよな。
そんなことが実際にあったはずなのに、幻のように遠い過去になってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます