第21話

「阿部さんでしょ?」


「・・・はい・・」


一人の男の子が隣に座って来た。

誰だっけ?

見たことあるような、無いような・・・。


微妙に暗いし、よく見えない。

ってか、この状況でよく私だってわかったな。


冴島と同じくらい背が高いけど、冴島とは少し違った匂いがする。

男の子特有の、でも全然不快じゃない。



「阿部さんも行かないんだね」


「・・・あ、うん」



なんか、グイグイ来るね・・・。


急に隣に来たと思ったら了解も取らずに座ってくるし・・・。




「俺も行かない。ってゆうか、そんな金ねーし、もったいないと思わない?」


「うん、ほんとそれ」



それには激しく同意。


それこそ近場や近くの国でもいいじゃないって思う。



冴島ん家みたいに金持ち世帯もいるだろうけど、私みたいな一般家庭の世帯のことも考えてほしい。



私はお父さんがそこそこのお給料をもらっていたけど、離婚して新しい世帯と住んでしまっている現状は、ほんの少しの養育費を払ってもらってる身分にすぎない。


慰謝料だって今の奥さんと浮気していた時に子供が生まれていたらしく、大変だろうからってお母さんが信じられないくらいの最低金額に設定していた。



一ヵ月のガス代と電気代が払えるくらいの値段だ。


浮気されてたのに、どんだけ人がいいんだよ・・・



そんな状況だから、私はお金を使ってしまう事に引け目を感じていた。

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