第4話

「さっむい、食べたらもう帰ろ。そろそろチャイムなるよ」

「そうだな、確かに寒い・・・———あ、ねぇ?」

「うん?」

「鍋ってしたことある?」

「ない」

「じゃあやらない?俺の家で」

「えーやだ、私んちにしよう。ママもいるよ」


なにもされないってわかってるけど、二人きりっていうのもね・・・。それに彼女とバッタリ・・・とかの災害に巻き込まれたくない。


「えー、でもいいよ。じゃあ、きまり。今日三人で鍋しよう」



***


「えー?ママ今日いないよ~?言ってたでしょ?」


あ――、そうだった。

いまいちよく分からない習い事の日だった。



「じゃあなべある?」

「鍋って何?土鍋の事?ある訳ないじゃん」



・・・・あらら。

そうよね、だって見たことないもん。







ピンポーン


「ヤッホー、きたよ」


ヤッホ―っていったこの人。


普段の様子からは想像も出来ないくらいのトーンで…。


相当ウキウキしてんな。


「いらっしゃい、あの、問題があるのだが」

「何?『やっぱやーめた』は無しだぞ」


大きなエコバックにはさぞかしいっぱいの食材があるだろうと想像できた。


「いや―、その、具材を沢山買ってきてくれたのに申し訳ないんだけども、”土鍋”も”ポータブルコンロ”もなかった…ちなみに”ママ”も」



そう言ったら目の前の冴島彩人さえじまあやとはわかりやすく荷物をドサっと落とした。


「———すまん」


「だから俺うちでやろうって言ったのにぃ・・・」


「いや、だって―――」

”急に彼女が来たらどうするの?”


言いそうになって、言葉をのみこむ。

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