第3話
高校生活二年目の12月。
去年までは私も、こいつもそれなりに上手くやっていけていた。
始まりはこいつの無駄にカッコよすぎる容姿だ。
しかも、大学生だか何だか知らないけど年上彼女がいるらしく、どんどん艶が出てきてイケメン度に拍車をかけて、人気は信じられないほどまでに膨れ上がり、密かに一年生を中心にファンクラブまで発足する事態になった。
そんな様子を遠巻きに見ていたり、噂が入って来たりと何かと騒がしい存在だけの人だった。わたしには。
今みたいに、
コイツがある日ぼっちになったのは、一年の終わりごろだったかな?
「でも、俺悪くないよね?」
「まあ、ね」
それは本当に同情する。
こいつがぼっちになってしまった原因、それは男友達からの嫉妬だった。
放課後、なにか部活でも入っときゃあいいものを、プラプラと友達と遊んでるから、そこで知り合うかわいい女の子たちを独り占め状態になってしまって、気持ちの小さい男どもはこいつを誘わなくなっていった。
「なんか部活やったらよかったのにね?」
「もういいんだ、高校生活諦めたから。大学から頑張る」
「おい、高校でも頑張ってよ。いいかげん私から巣立ってくれないと困るんですけど?」
「いいじゃない、お前だって俺と居たほうがいいと思うよ?ねえ?———今日もさ、放課後やりまくって楽しもうぜ」
そう言って座りながら壁ドンしてくるこいつ。
悪戯に色気まで出して演技してる様子はとても楽しそうだ。
でも答えがわかってる私はぜんぜん楽しくない。
「―――勉強を」
「————…まあ、素敵なお誘いですこと・・・」
なんて、普通に呆れた風を装って返すけど、心臓は素直にドキドキが止まらない。
私のこうした乙女な心情どうしてくれるんだこの野郎。
こいつは勝手に私なら自分を好きになることなんてないだろって決めつけて、鳥が羽休みさせるみたいに私を止まり木がわりにする。
でもさぁ、私だって年頃の女子なんだよ?
あんたみたいにカッコいい人に纏わりつかれて好きにならない訳ないだろ!!
でも、そんなことは勇気がなくて言えないけど。
勇気もないけど、彼女が居るんだし、伝える気なんてさらさらないけどね。
二年生の後半が過ぎたこのごろ、さすがに私も青春ライフは諦めた。
私もトラブってぼっちになったくち。だからこいつと波長が合い一緒に居ることが多くなったのだけれど…。
だからと言ってダラダラと時間を無駄にしたくないから、彼女とデートがない日は放課後の教室や図書館、フードコートなんかでこいつに誘われるがまま勉強をしていた。
うちの財政状態を考えれば、大学なんてものに進学させてもらえるか分からないけど、でも勉強することは悪い事じゃないし、無駄にはならないだろう。
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