かべをうがちてしょをよむ

 勘違いしている人が多いけれど、小説は論文と違って書くよりも読むほうがそうとうに難しい構造をしている。

 小説が空想であるからにはいくらかの物語背景に事実以外が割り込むことが理由だ。

 また複雑な背景があるものはそれなりの文章量や説明が割かれ理解の努力が要求される。




 結論だけ先に言うことにする。

 ボクが小説を読む人々に絶対に読んでほしい必読書が二つあって、おすすめの必読書を上げておこうと思う。


 一つは学校指定の地図帳。世界や日本の地図が載ってて、統計データが載っているスグレモノ。

 風景の参考にもなる。


 もう一つは広辞苑か大辞林なんかの辞書。

 正しい日本語ってのはまぁ一応知っておいたほうがいいし、ネタ本にもなる。

 ググるよりも多くの単語を一般に見つけられ覚えられる。

 仕事でも使うよ。




 およそここでおしまいでいい。

 あとは、その結論への導入だ。

 たぶんここまででもう読みたくないって思っちゃった人もいるだろう。




 さて、小説は空想の物語である。

 一方で前提の説明については可能な限り省きたい、

 近年、背景説明については忌避される傾向にある。

 それによって、ますます、小説の読解は先鋭的に難しくなる傾向にある。


 さて、じゃぁここでどうするべきか。




 たとえば、カクヨム作家小稲荷一照さんの作品。

 ボクは正直、自分の書くものが難しいと思ったことはないし、つまらないと思ったこともない。

 でも、実際に少ないよね。

 閲覧数。

 見に来てくれている数が少ないと言うほどでもないけど、まぁ最後まで耐えられている人には本当に敬意を払う必要があるほどに少ない。


 ボクはそれをどうこうできないと思っている。

 それは、本人が必要ならそのうち出来るようになるし、できなくてもなんとかなる人生も多い。

 小説なんか読めなくても、楽しいことはいっぱいあるよ。

 旅行とか、スポーツとか。




 問題は、なにをもって小説を評価するかって話だ。

 プロトコルレベルでボクと同じものを備えている人間であればボクが書いたものを読むことはそれほど難しくない。

 つまるところ、ボクのクセを知っていてボクの思考をトレースできる程度に把握できているようなごく少数の人間であれば、ボクの書いたものの概要を追うことは造作もない。

 だがそうであっても価値評価、面白いかどうか、注目点はまた別だ。


 ボクは大抵、自作について備忘録として純粋に楽しんでいる。

 これでもそのときその時の論理的な帰結に至る過程をそれなりに丁寧に練り込んだ上で作品に仕上げているので、ボクにとってはどこを切っても意味がある。

 そういう風につくってある。

 最初から他人の目を気にしないとはそういう風に作られるということだ。




 一方でなにも知らない他人が見てそれをどう思うか。

 おそらく、奇妙に思うかもしれない。

 なぜ主要登場人物の名前についてここまでぞんざいなのか、とか、土地の名前について一貫性はあるのか、とか、サブタイトルの整理をもう少しなんとかしろよ。とか。


 売り物にするつもりがあるなら、ご意見いただきたいが、売り物になるのかね。というところから始めようか。

 というのが、正直な気分だからそうなっている。


 結局のところ、ボクという個人が人生においてある形で実生活上の変化を受け続けているように、周辺環境も当然に変化する。

 ボクを知る――ボクが知ると自認する人々も同様に変化を続ける。

 それは避け得ない事実だ。


 そして、当然みたこともない不特定の誰か。

 もし、ボクの著作を読んで興味が湧くなら他の作品も読んでみるがいい。


 たぶんいくらかは気にいる。




 商売の話はその後だね。

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