第23話

月や海を眺めながらたっかは、立ったまま暫らくの間、相変わらずぼーっとしていた。


そのうちに手が不自然な動きをさせていて・・・・。

それは、よく知らないけど、なんとなくの知識しかなかったけど、――――たぶん、自分でする行為だと気が付いた。


それをみて衝撃的で、大声が出そうなのを口を押えて一生懸命に我慢した



よく学校で下品な男子が、いつもそのことをネタに騒いでいるの思い出して―――たっかも―――そういう事するんだって、どこか悲しくなったんだよね…




小さい頃から、王子様みたいに思ってたし、顔も綺麗で特別に見えていたから



だから、私は目を反らせてみないようにしていた


素敵なお兄さんだと思ってたからちょっとショックだったんだ


その場を去りたかったけど、見つかって傷つけたくなかった



そのうち荒い呼吸を繰り返しながら、短く声を出してるのが聞こえて‥‥


気付けば、横になって上を見上げていた


はっきりと顔が見えてしまった




月や、顔を上げて海を見ては目を瞑って苦しそうにしていて



頭も上げたりして苦しそうに踏ん張っているようにも見えた


しばらくその状態が続いて、暗闇になれて月の光でたっかの全身が見えたころ


横向きになった彼は、小さく丸くなって


ひと際大きな痙攣と


籠った声を発して、動かなくなった



低く声を上げながら、すすり泣く声が聞こえて


私の目からも涙がでてきた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る