第22話
私にとって、気持ち悪いだけだったその「行為」が、「性の感情」として自分にも降りかかってきたのは、中3の時。
聞くに堪えない両親の声に我慢できなくて、夜中にコッソリと抜け出した。
その頃は、旧昂の部屋だった二階に居た私は、燃料タンクを屋根から降りる足場にして、あらかじめ用意してある踏み台にのって下に降りた。
そのまま、寝室に居る両親に見つからないように、たっかの家に向かって、家が見えてきたと思ったら、たっかがボーっとしたまま玄関から出てきたんだ。
綺麗な満月の夜だった
なんだか、いつもと様子が違って、月に導かれるように砂浜に向かって行く彼を、声もかけずについて行った。
吸い込まれるように海に向かって静かに歩くから、怖くなって陰に隠れて様子を見てたら凄く心配になっちゃって…。
『そのまま、海に入ったら――――どうしよう…』って思いながら後をつけていた。
波打ち際で歩みを止めて、ホッとしたのもつかの間。
そのまま振りかえったら丸見えになっちゃうと焦った私。
別に、その時”夜の散歩?”って聞けばいいだけだったのに、その時は見つかっちゃいけないって気持ちになっていたんだ。
音をたてないように砂浜に積まれたコンクリートブロックの中へ入り、その隙間から見守っていたら…。
意外な行動に出た彼。
咄嗟に隠れた判断は正解だったと思い知ることとなった。
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