第79話
「な!何するの?!お義母さんだって同じようなことしているでしょ?私の気持ち、分かりますよね?今度は浩紀さんを大事にしますから!お義母さんからも説得してくださいよ!」
「うっさい!!!黙れ!このクソあま!!蓮人だけじゃ飽き足らず、アンタはこの子からも父親を奪うのか!!!」
母親の鬼の形相に由香里は面食らったように押し黙った。
「・・・彼女の言う通り、由香里さんには浩紀を幸せに出来ないわ。あなたは、浩紀の中にあるトラウマを再現してしまったのよ」
「・・・・・トラウマ?」
「私の浮気が発覚したとき、あの人は浩紀ごと私を見限ったの。私は、浩紀から安全な居場所と父親を奪ってしまったの…。その罪は未だに償えていないわ…。それと同じことをしてしまったのよ、あなたは。それなのに、今生まれようとする子の父親も奪おうとしている。もう、いい加減にしてちょうだい。これ以上この子に辛い思いをさせないで」
それを聞いた由香里は崩れるように座り込み声を抑えながら泣き出した。
「それに、何なのその恰好は?服ボロボロじゃないの、お肌もカサカサだし、目の下にクマができているじゃない!」
母親の声は涙声になっていた。由香里の涙につられたんだろう。
あまりいい関係に見えなかったけど、元義理の娘として少しでも情が残っていたようだ。
おもむろにバックを漁り財布を取りだすと、ありったけの札を手に取り彼女に握らせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます