第78話
「たまに作ってくれるけど…、毎日じゃないわね―――――」
”そうでしょ?”とばかりにふふんと勝ち誇っている由香里。
でも続く言葉に顔を青ざめていた。
「―――――でもそれって、あなたがしてくれないからでしょ?ヒロ君は喉の粘膜が弱くて”ハウスダスト”で痛めるの。知っていた?」
「え・・・・・・はうす・・だすと?」
「それに食事に関してだけど、あなたに会ったら言いたいと思っていたから言わせてもらうわね。ヒロ君は青物系や苦いものが苦手なの。牛乳に関してはアトピーもある。そういうの、あなた把握していたの?」
「あ・・・・え?アトピーってアレルギーとは違うでしょ?少しづつでも食べて慣らさないと治らないじゃない」
「アトピーは深刻になると皮膚が荒れて酷い事になってしまうのよ?それを治すために強い成分が入った軟膏を長い間使用しなきゃいけないの。それは臓器に多少でも副作用がでるし、蓄積されてしまうの。慣らすなんてとんでもないわ、食べさせないのが一番なのよ」
俺が結婚生活の中で苦しんでいたことを乙葉がこの場で言ってくれた。
結婚当初はあまり掃除をしてくれないから、咳や鼻水が酷かった。
アトピーに関しては聞く耳を持ってくれず、せっかく作ったんだから少しでも食べろって言われるから自分で作るようになったんだ。
「過去に愛されていたのは分かりました。でも、あなたに返してもヒロ君は幸せになれないわ。」
「そんな、あたしは今度はうまくやるわよ!あんたなんかより幸せにしてあげるんだから!慰謝料もお腹の子の養育費も払うから!とっとと別れてよ!」
由香里が立ち上がってそう叫んだ瞬間、ただ傍観しているだけの母親が立ち上がり由香里の元へ行ったかと思えば思いっきり平手打ちをした。
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