第73話
その後も毎日のように電話が来て、その度に外に止めてある車へと籠る。
とったが最後、切らせてくれるタイミングを失わせるかのようにどうでもいいよな”悩み事”は続いていく。
職場での立場がどうのこうの、アパートが古くて帰るのが怖いだの…。
色々相談を受けたが、あることについては一言も相談してこない。
蓮人に関すること。それだけがあたかも初めからなかったかのように話題に出てくることもなかった。
でも、そんなことはもう気にしない。
俺はもともと他人だった。
だから、俺は話しを聞くだけの人間。
それで俺の大切な家族に害が及ばないのならばいくらでも聞いてやるさ。
「乙葉ちゃん~!きちゃった」
「まあ、お義母さん。どうぞお上がり下さい。ヒロ君?お義母さんいらしたわよ~」
「急に来るなよ。乙葉とお腹の子がびっくりするだろうが」
「まあ!嫌味な子ね!」
「おかげさまで」
”母親になんてこと言うの!”
乙葉は目だけで俺を叱責する。
だってしょうがない。
この人には苦労をかけられたのだから、これくらいの権利はあるだろう。
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