第50話
「だから、そうじゃなくて…。おれ、とっくの昔からあなたに惚れちゃってるんですけど」
「ファ?え!いつから?!!」
彼女のおマヌケな声が店内に響く。
周りの客にチラチラと見られてるけど、そんなことどうでもよかった。
「そんなの分かりませんよ。あなたは初めから俺に興味ないって言い続けていたから心が折れそうでしたけど、時間が経てば見方変えてくれるかなって期待していたんです。そこであんな事言っちゃうんだもん、乙葉さんは」
「ちょっとね、弾みで友達にその辺突っ込まれたの。もしかしたらなぁ~とか、思ってさ」
「夢見る年頃、過ぎてないじゃん。俺とどうこうなろうって少しは思ってたでしょ?」
「いやー、だってさぁ、思うのはタダじゃない?だから妄想の中では深い仲になってるけどもさ、そんなの現実に起こるわけないって思うじゃない、普通はさ」
「それが現実化したんです。もう諦めてください。俺、狙ったものは取りこぼしたことないんで」
「え、ヒロ君ってそいうタイプの人」
「ええ、めちゃくちゃそうです。惚れたら一本筋なんで」
「わぁお…。そこは妄想と違ったわ」
顔を真っ赤にしながら照れ隠しにそう呟く乙葉。
こんな始まり方だったけど、俺たちはこの日から正式に付き合い始めることになったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます