第49話

「メール、本当にごめんね?ちょっと酔っててふざけちゃった」


「…」



入った店で彼女が初めに言った言葉がこれ。


俺がなにも返信しなかったから、迷惑な発言をしたと思ったのだろう。



「あの、なんだ。ちょっと、さ?おふざけが過ぎただけだから気にしないで?無かったことにしてくれると有難いな―…、なんて」



って言いながら梅酒を注文してる。


メニューを盾にして俺の顔色を伺いながら恥ずかしそうに言ってくるからイジワルがしたくなる。



「無かったことにですか?嫌ですね。ぜーったいにヤダ」


俺はウーロン茶を頼んだ。

彼女は悪く捉えたのかがっくりしている。


「・・・ごめんって、キモかったよね?怒ってる?」


「そういうことじゃないんで」


「ん?――――じゃあどういうこと?」


「責任とって下さいよ」


「――――もしかして、慰謝料とかそういうこと?」


真面目な顔が張り付いてる俺の機嫌を宥める為なのか、彼女は少しふざけた様に親指と人差し指で輪を作り、お金のポーズをとる。


吹き出しそうになったけど、そこをグッと堪えた。

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