第47話

せめて仕事ぐらいちゃんとしていることを願いたい。


ありきたりな資格を取って大喜びしていたけど、就職氷河期と言われる昨今では役に立たないだろう。


背伸びせずプライドを捨てられるといいけど、自分がより有利だと上から見下す癖があるからより難しそうだ。



「こうなってくればよ、過去にこだわるらしいから、浩紀、気を付けろよ?」


「そうだな。でも、いろいろ取り決めたし、警察呼べば連れってってくれるから大丈夫だよ。念書も書いてもらったし、罰金も払えねえだろ?」


「でも、追い詰められた人間にはそんなこと関係ないらしいからな」


「肝に銘じておくよ」



佐藤と店を出て、終電に乗ってからさっきのメールの続きを見てみる。



”だってさ、私は市場調査を装って、ヒロ君とデートごっこしたいだけだもん”



――――――こんなの告白されたようなもんじゃん。


男前にも程がある。



こんなことを先に言われて黙っていられる性分ではない。

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