第43話

彼女とそのまま呑み、遅くならないうちに最寄りの駅まで見送った。



メールアドレスも交換し、それから日に何度かメールを送りあう仲になった。


メールの内容はお互いにどうでもいい事ばかりを報告する。



昼にこの店で何食べたとか、今見てるテレビが面白いとか、風呂に入ってビールを吞んでいるとか、ワインには煙草が一番の肴だとか、そんなとりとめのないことばかり。


そんななんでもないやり取りだけど、誰かと繋がっているっていうのは人を救う力があると思う。



俺は彼女のおかげで立ち直れたし、電気をつけるのも相応しくないとか病的に思ってた時期があったけど、見事にそこから抜けられたんだ。



何より、また恋をしている感覚が元の俺を呼び起こす。


落ちていた業績もぐんぐんと戻りはじめ、我ながら単純なやつだなと呆れることもあるけど、久々に感じる充実感に満ちていた。



俺たちにとってメールは下らない報告をしあうのがメインだったが、一緒に出かけるために連絡ももちろん取り合ったりしていた。

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