第37話
「なに、たばこ再開したの?」
「うん。もう我慢する必要がなくなったし」
「もったいねぇな。そのままやめちゃえばよかったのに」
「夢の中で何度も吸ってた。こういうのは理由がなかったら欲に負けるよ」
「理由ねぇ・・・。なあ?お前に好意抱いてる知り合いいるんだけどさ、会ってみない?」
「―――――そういうのはしばらくいい」
一生独り者でいてやる・・・だなんて思ってる訳じゃないけど、今はその気になれない。
女に裏切られたばかりで愛なんてものは信用できないものになっているし、会う女性の裏の顔を疑いながら過ごすのも失礼だし。
身体だけ求める気にもなれないし、なによりその行為で自信がなくなりつつある。
誰にも言えないけど新たな出会いに消極的になる一番の理由はそれで二番目は蓮人の事。
彼のことを先回りして勝手に考えてしまったけど、本当にそれでよかったのだろうかと思わない日はない。
だからと言って自分が引き取る決断をしなかった不甲斐なさがいつまでも纏わりつき、性欲なんてものがないくらいに欲のない人間になりたくてしょうがなかった。
佐藤は俺のことを心配してくれているのか、毎週末のように呑みに誘ってくれた。
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