第38話

「あちらさん、まだ夢の中?」


「だろうね。何の連絡もないらしいから」


「女は離婚してから半年は結婚できないんだっけ?」


「うん。でもレスが長かったから意味ないけどね」


「じゃあそのあたりかな?騒ぎ出すのは」



「さあ、どうだろうな」


「何かあったら抱え込まないで相談してくれな?それと、カラダが寂しくなったらそういう関係だけでもいいって人もいるから遠慮なしに言ってくれ」


「まあ、その気になったらな。でも、根本的に愛したいって思えない奴に無責任にその行為をするなんて、とても出来そうにないよ」


「浩紀は真面目だな。俺がお前だったらその顔使って遊びまくるのに。まあ、そういった誠実なところが出てるから更にモテるんだろうけど」


「そんなことないよ。ただのビビりなんだって」



身体だけの関係だなんて俺にはムリ。



とか、カッコイイこと言っちゃってるけど、理由は他にもある。


俺のセックスって、もしかしたら良くなかったかも知れないって思うことがあるからだ。



例えば、由香里の事に置き換えて考えてみる。


気持ちが鍋島に向いていたとしても、俺がその行為で満足させられる人間だったならば由香里の気持ちは変わっていたかも知れない。


そうならなかったって事は、俺のテクはその程度のものなのだろう。



紹介してもらった女性といざそうなった時、そのことが頭を霞めそうで自信がなくなりそうなんだ。



だって由香里は奴との行為中に俺のテクについて嘲笑っていたのだ。


苦痛だの、早く終わって欲しいからイったフリしてただの・・・・。


散々な言われようだった。

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